愛してるって言って

「やだ。まだ帰らないで」


「は?」


「話は今度でもいいから、まだ帰らないで」


「いや、そういうわけには……」



紗羽さんには『10時には帰るのよ』と言われているし、ここで信用を失うわけにはいかない。



「だって、もう少し蒼ちゃんと一緒にいたいんだもん」



すずにこんなことを言われてしまったら、俺の理性はどこかに吹っ飛んでしまいそうで。


けれど、いやいやいやいや、とそれを取っ捕まえて引き戻す。



「すず、そんな風に俺を煽るな」


「え」


「こんな風に会えなくなったらどうするんだ?」


「やだ!」


「だろ? だから今日はもう帰るよ」


「……」



俺の言葉に、すずは唇をきゅっと結んだまま涙目で俺を見上げてくる。


だから、そんな瞳で見つめんなって。