愛してるって言って

「蒼ちゃんのパパは、いつ……?」



すずは遠慮気味にそう訊いてくる。



「俺がまだ一歳のとき。優華なんて母さんの腹ん中にいたときだからな。
だから親父のことは、何一つ覚えてないんだよ」


「……」



俺の言葉に涙ぐんでいるすず。



「なに泣いてんだよ」


「だってぇ……」


「ん?」


「蒼ちゃんも優華ちゃんも、絢華ママも……みんな幸せそうにしてるから」


「まあな。今は幸せだからな」



俺は全て覚えている訳じゃないけれど、母さんが毎日のように泣いて過ごしていたこともあった。


きっと俺や優華も泣いていたことがあったんだろうなと思う。


小さすぎて全く覚えていないけれど。