愛してるって言って

目の前の背中に向かって呟くように名前を呼ぶけれど、圭ちゃんは何も言わなくて。



「圭ちゃん」



もう一度そう言うと、圭ちゃんはゆっくりと振り返った。


眉を下げてどこか弱々しい感じの圭ちゃんに、また涙が出そうになる。


あたしに向けられている瞳は悲しそうなのに真っ直ぐで。


何か言わなきゃって思うけれど言葉が出てこなくて。



「涼夏」



そしたら圭ちゃんから声をかけてきた。


そして悲しそうな瞳がふっと細められる。



「俺はさ、ちっせーときからずっと涼夏だけを見てきた」


「……うん」


「ずっと涼夏だけだった」


「……うん」


「だから……」


「……」


「だから、涼夏が付き合ってくれたときは、マジで嬉しかった。他には何も要らねえって思った」


「……うん」