浴槽の縁に手を置いて身体を支えるけれど、視界がぐるぐると回っていく。


どうしよう。


とりあえず浴槽からでないと、また身体が熱くなっちゃう。


浴槽の縁にしがみつくようにして足を上げてなんとか湯から出たけれど、着地寸前でつるんと滑っておしりを強打した。



「うぅ、痛い……」



けれど、ふらふらしているから寝転んだ体勢のまま立ち上がれなくて。


どうしたものかとふらふらになった頭で考えていると、



「涼夏! 大丈夫!?」



ドア越しにママの声が響いてきた。



「涼夏!」



今度はもう一度そう叫びながらドアを開けてきた。



「きゃー! 涼夏! 大丈夫なの!?」



慌てて傍まで駆け寄ってきたママは、あたしにバスタオルをかけてくれる。


それと同時にママの後ろからパパが来て、そのまま抱き抱えるように持ち上げて脱衣場を出た。


ほっとしたのか、そのあとすぐに意識を手放してしまった。