愛してるって言って

「じゃあ、帰るぞ。ほら、車に乗って」



蒼ちゃんにそう促されて、後部座席のドアを開けて車に乗った。


圭ちゃんは助手席に乗ると思ったのに、あたしのあとについて入ってくる。


そしてそのままぎゅっと手を握ってきた。



「圭ちゃん?」


「ん?」


「ううん、なんでもない」



前を見据えたまま声を発する圭ちゃんには、何も言えなくて。


だって、横顔だけれど凄く寂しそうな表情が見えたから。


きっと、あたしのせいだ。


目が合ったとき、名前を呼んでくれたとき、僅かにだけれど心がぐらりと揺れてしまった。
きっとそれに気づかれちゃったんだ。


今のあたしにとって一番大切な人は圭ちゃんのはずなのに。