愛してるって言って

それでもキリキリと走る胸の痛みが消えるわけじゃなくて。


握られた手の温もりを感じながらも、その痛みをおさえるように反対の手を胸に当てた。



「なあ、涼夏」



そんなあたしにちらりと視線を寄越した圭ちゃんは、足を進めながら声をかけてきた。



「何?」


「やっぱさぁ……俺にしとけって」


「えっ……」



言葉の意味を理解するかしないかというところで圭ちゃんは足を止めると、あたしと向かい合うように立って、



「兄貴なんかやめて、俺にしとけよ」



真っ直ぐな瞳を向けながら力強い口調でそう言ってきた。


その瞬間、あたしの心臓は、胸の痛みを消し去ってくれるくらいに大きく跳ねた。