「でも」

「ん?」

「あたしと駿のほうがもっとお似合いかも~なんちゃって」

「なんだよそれ」


笑って言ってきたから

俺も笑って返したけど

俺は一瞬を見逃さなかった



美咲が言い終わって少し下唇をかんだんだ



美咲は昔から大人で

誰に対しても他の人を優先していた

からこそ、たまには辛い時もあって

心に思っていることを言えないときは

いつもこうやって下唇を噛むんだ




でも、俺は気づかないふりをした

だって...俺には恋だけだから...。