-駿side-
「最近どーよ?」
「智哉...なんかあったのか」
机に突っ伏した俺の目の前に
いきなり顔を出して智也がニヤッと笑う。
さてはこいつ、なんかいいことがあったに違いない。
そしてそれを聞いて欲しいから俺に聞くんだ。
ったく...しょうがねぇやつ。
俺は身体を起こして前の席から俺を見る智哉に
仕方なく聞いてやった。
「あー俺?まぁ~ね~?」
「なんだよ」
「いや、色々とね?」
「早く言えって」
朝からこのテンションについていけねぇよ...
ただでさえ朝弱いっつーのに。
「まぁ...その」
「いや、いいたくないならいいよ」
するとまた伏せようとした俺の腕をガシッと掴んで
「麗と夏祭り行くことになったんだ!」
と照れ笑いをした。
麗...って...
「お前...恋が好きだったんじゃねぇのかよ」
まぁあの日以来、委員会にきてないし
諦めたのかと冗談半ばで思ってたけど...。
「まぁ..恋ちゃんはさ、明らかに駿のことすきそうだし。俺どっぷりはまる前にケジメつけようって思って諦めたんだ」
「...へぇ」
...恋が俺を好き...
なんてことがあればいいのに。
「夏祭りの日...告白するつもりでいる」
「そうだったんだな、頑張れよ。」
「おぅ!」
そう言う智哉は素直にかっこよかった。
生き生きしてて、それに気持ちを伝えるって。
俺だってそうしたい...けど、
なんかすごく自信がなかった。
夏祭り...か。
たしかこの祭りは花火大会もあるんだっけな...
教室から窓の外をみてみれば
青々とした草木が風に揺られていて
耳を澄ませばミーンとせみの音がした

