はっ、と、目を覚ました。 朝だ。 明るい日の光に、そう思う。 ……確かに、呼ばれた。 だけど、夢の細部を思い出そうとすればするほど、掌から砂が零れ落ちるように、さくらの記憶から零れ落ちていく。 それでも、掛けられた声は耳に残っている。 穏やかで、優しい声音。 ね、誰だったの……? 絶対知っている。 誰だか、絶対知っているはずのひとなのだけど、 だけど──…