京極が「下校中に立ち寄った」と言ったということは、シグマは家出の事を内緒にしているということだ。

それが少し嬉しかった。


「なぜ練習したか、と、いうよりも、僕としては練習などしなくても、シグマにその力があると思っていたんだ」


京極はテーブルについていた肘を離し、身を乗り出した。


「簡潔に言う。手からピンク色の光を出す何者かに、消された人がいる」

「人?!」


私は驚きよりも恐怖が先にたち、嘘だと言って欲しいと、すがるような目で京極を見た。