大好きな明希くん!

「柚子、お前辛いんだろ?」







「そ、そんなことないよ?私は明希くんの近くにいられるだけでも…」







「柚子。俺の前では強がんなよ。」







そう言って私をまっすぐ見つめてくる麻也。







「ホントは辛いよ。明希くんと璃子さん見てるの。だけど、どう頑張っても明希くん嫌いになれないんだもん。好きなんだもん。」







「…柚子。」







気づいた時には、私は麻也の腕の中だった。







「あの…麻也…?」







「俺は…、お前が、柚子がずっと好きだった。もう苦しそうなお前を見たくないんだよ。」







「麻也…?」







「なぁ、俺じゃダメか?」







そう言っている麻也の顔は見えなかったけど、泣いているような気がした。







「麻也…、ごめんね。」







「返事くらいわかってたさ。」







「私、どうして明希くんじゃなきゃダメなんだろう。」






「柚子…。」







そのあと、砂浜には波の音ばかりが響きわたっていた。