明希くんの運転で、私と麻也は後部座席に乗る。






「おい、柚子。お前まだ明希のこと諦めてねーの?」







「うるさいよ。私は明希くんが好き。それでいいの。」







「よく続けるよ。」








麻也は小声で私に話している。
麻也は麻也なりに明希くんに聞こえないように気を使っているんだろう。







「柚子、璃子が久々に柚子と会えるの楽しみにしてたよ。」







「へ?あ、そうなの?璃子さんと会うのいつぶりかな?」







「んー、もう半年くらいかな?」







その「半年」という響きに、明希くんたちの付き合いの長さを思い知らされる。







「さ、もうすぐつくよ。」







わたし達はどこに向かってるのかというと、璃子さんの別荘に遊びに行っているのだ。







「わーい!」







「柚子あんまはしゃぐなよ?」







そして、明希くんが車を止めると中から璃子さんが出てきた。
まるで新婚さんのように。







「明希、疲れたでしょ?一人で行かせてごめんね。」







「全然大丈夫だよ。麻也と柚子だったから退屈もしなかったし。それより、これからどうする?」







「私は買い出しに行こうと思うの。柚子ちゃんたちは遊んでて大丈夫よ。」







そう言われたので、私は麻也と2人で海岸に行くことにした。
もちろん明希くんは璃子さんに付き合うわけで。






私はなんとも言えない切ない気持ちになっていた。