時雨の白魔女


走りながらの登校中、

前方に見慣れた後ろ姿があった。


「あ。咲希、おっはよ!」


ドンッと咲希の背中を押す。

ちょっと驚かすだけのつもりだったが、思ったよりも咲希の体は大き傾いた。


「うわっ、...とと...、し、時雨...。」


いきなり来ないでよと言いたげな咲希。


だが、それでも私は咲希に突撃する!


これはもう日課のようなものだ。


「まったく...、おはよ」


そして、その咲希の隣であははと笑うのは春ちゃん。

「あはは...。おはよう、しぃちゃん。朝っぱらから元気だね」

その元気さ、私にも分けて欲しいな〜と、ほわほわしながら微笑む春ちゃんは何と可愛らしいことか。


「春ちゃんもおはよ!」

はい、元気パワー‼︎と叫びながら春ちゃんに手をかざす。

「あは、ありがとうね。しぃちゃん」


この2人は、私の親友の咲希と春ちゃん。

咲希はしっかり者のお姉さんタイプ。

私や春ちゃんがどっかの空想世界に入り浸っているとき、現実に戻してくれる。


一方春ちゃんは、いつものほほんとしている。

ひとりでふらふら~と歩いていたら、そのまま道に迷ってしまわないか心配になる。


「にしても時雨ってば汗だくだくだねぇ」

咲希がそう言うと、春ちゃんは何かに気づいたかのように、鞄からハンカチを取り出して私の顔を拭いてくれた。

「あ、春ちゃんありがと〜。いやぁ、気づいたら8時でさ、遅刻するかと思ったよ」

「だからあんな猛進してきたのね...」

「でも猛進してくるのは毎日の事だよね」

「えへへへへ、そんなに褒めても何も出ないよ?」

「褒めてないわ!」


その後も他愛ない話をしていると、学校に着いた。


どうやら遅刻は免れたようだ。