そんなやり取りをしていると、気づけば家の近くまで来ていた。

「あ、そこ、私の家なの」

 指を指した方向に目を向けた立花君は、家の前まで送ってくれると言い、門の前で立ち止まる。

「それじゃ、俺の任務、無事完了てことで良い?」

 うんと頷けば、警官宜しく敬礼する彼に倣って私もしてみる。けど、二人揃って黙って敬礼する姿が異様に可笑しくって吹き出せば、立花君も堪えられなくなって笑っていた。

「ありがと、璃子ちゃん……ほんとに」

 ひとしきり笑った後、ぽつりと呟いた立花君に首を傾げる。

「俺、馬鹿だし語彙力もないから、璃子ちゃんみたいに伝えたいこと、伝わらないかもしれない。でも、頑張ってみる」

「……うん。こんな私の言葉でも伝わったのなら、きっと大丈夫だよ」

 立花君はありがとうと言って歩き出す。その後ろ姿を見送る私に、振り返った彼が手を振ってくれる。

 離れていく姿。遠くなる笑顔。もっと一緒に居たいという気持ち。重なっていく好き。

「…………洸君!」