地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~

 一人戸惑う私に、してやったりのユイちゃん。そして……

「当然、そのつもりだから。あ、万里子さんにご馳走さまって言っておいて」

 じゃあ、と言って立花君はユイちゃんに手を振りながら歩いていく。その後ろ姿とユイちゃんを交互に見る。

「ほら、早く行きな。ついでに告っちゃえ!」

 テンパる私の耳元でユイちゃんが囁いた。

「え……えぇ!!そんな、そんな、心の準備が」

「柊さーん、はやくー!」

 立花君がおいでおいでと手を振って私を待ってくれているが、動悸の治まらない私が動けないでいると、しびれを切らしたようにユイちゃんが背中を押した。

「グッドラック、璃子!」

 もうなるようになれ、という勢いで私は立花君の元へ駆けていく。

 シャッターの閉まった人通りのない商店街、どこかに潜む蝉の声、地面に響くサンダルの乾いた音、湿気を含む風に吹かれて。