地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~

「こんにちは、彰さん!」

 元気の良い彼の声が、お客さんのいない店に響く。

「うるさいなぁ、お前は」

 カウンターレジの所に立っていた彰さんはやれやれといった感じで、でも心なしか喜んでいるようだった。

「彰さん、こんにちは」

「璃子ちゃん、こんにちは。こんな暑苦しい奴なんか放って来て良かったのに」

「なんだよ、俺に冷たすぎじゃない!?」

「そういうとこが暑苦しいっての。ほら、ユイが待ちくたびれてるから早く行ってやれ」

 二人で「はーい」と返事をして、奥に進んで二階へ向かうため階段を上がっていると、

「……良かった」

 誰に言うでもなく、吐息と一緒に出たような立花君の呟き。その表情は見えなくて、だけど、何かが吹っ切れた感じの声だった。

 上からはユイちゃんと万里子さんの賑やかな話し声が。前を行く立花君は振り返って肩をすくめる。困ったような、面白がるような、その笑顔が窓から射す光に照らされていた。

 キラキラ、ドキドキ、ワクワク……

 立花君が笑う度に、私も笑う。一人だったら何の感情も感動もなくて、そのことにも気づかなかっただろう。

 今日が終わらなければいいのにな。