「二人はほんとの兄妹みたいに育ってきて、ある意味でお互い大切な存在なの。だけど、勘違いはしないでね」

「勘違い?」

「ユイにとって洸はあくまでもいとこで、家族なの。恋愛がどうとか、そういった気持ちはないから、だから二人が一緒にいても勘違いはしないでほしいの」

 心なしか万里子さんの声が悲しげに聞こえて、私は大きくかぶりを振って「全然そんなこと思ってません!」と答える。

 前に立花君の色恋沙汰に巻き込まれて大変だったというような話をしてくれたから、きっとその時につらい思いをしたのかもしれない。

 学校では他人のふりをしているらしい二人は、一定の距離を取っているようだ。

 だけど、三人で食堂にいた時はすごく楽しかった。

 ユイちゃんと立花君の掛け合いは気心が知れた者同士のくだけたもので、聞いているだけだったけれど、私も声を出して笑っていたほど楽しかった。

「その逆で、もっと一緒にいたら良いのになって。二人の会話は聞いてるだけで面白くて、喋ってる本人たちもすごく楽しそうで」