地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~

 制服から着替えてくると言った彼女は、美容室の店主でもあるお父さんに色々と指示を出していて、彼も不服そうな顔をしながらも言われた通りワゴンに道具を用意し始めた。

 私は相変わらず、どうすればいいか分からないで辺りをキョロキョロ。

 こじんまりとした店内には、カット台が2台。奥にはシャンプー台、所々に飾られている雑貨はどれも可愛くてセンスが良い。

 ……勝手に商店街の美容室は昭和の匂いが残るレトロな雰囲気のある所だと思っていたから、良い意味で裏切られた。このお客さんの数の少なさが不思議なくらいだ。

「君、ここに座って?えーと、名前聞いてないな。名前は?」

 準備を終えたらしい速川さんのお父さんが一つの席をぽんと叩いて、座りやすいように少し回転させた。お礼を言って座らせてもらう。

「柊 璃子です。速川さん……結奈さんとはクラスが違うんですけど、学校で危うく事故にあいそうだったのを助けてくれて」

「あいつが人助けなんて、柄じゃねぇな」

「それが娘に対する言葉?父親なら立派な子だって褒めるもんでしょ」

 住居と繋がっているらしい扉から出てきた速川さんは、Tシャツにデニムのパンツというラフな格好で、腰にはハサミやコームの入ったシザーケース。

 そんな美容師の姿も様になっていて拍手したくなる気持ちをなんとか堪えた。