地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~



「もう、お客さん来ないから好きに使っていいよね」

「おい、まだ営業時間中だぞ」

「来ない客待ったってしょうがないじゃん」

「お前、部活は?」

「うるさいなぁ」

 軽く疎外感を感じつつ、突っ立ってその場を見守る。

 速川さんが立ち止まったのはまさに今居るお店……アイボリーの壁に木目調のナチュラルな内装の美容室だった。

 ここが彼女の家らしく、つまりは速川さんによく似た(速川さんが似てるのか)40代中程に見える男性はお父さんらしかった。

 呆れたようにため息をして、速川さんのお父さんはこちらに目を向けた。

「君、ほんとにユイの友達?無理矢理連れて来られたんじゃない?」

「え、あ、いや、なんと言いますか……私の、命の恩人で、しかも美味しい食べ物を恵んでくださって……」

 友達というにはなんだか申し訳なくて、事実を述べようとする私に速川親子の驚いた視線が。次いで二人とも吹き出して笑ってしまう始末。

「え、え?なぜ??」

「ユイの目に留まるのも納得だな」

「でしょ、久々に腕が鳴るわ」

 私はまた速川親子の会話に入れずに呆然と立ち尽くす。美容室は寒すぎるくらい冷房がかかっていたが、なんとも言えない高揚に頬が火照っていた。