地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~

 コロッケを完食すると、今度は小さな喫茶店に入った。ここでお願い事とやらを聞くのかなと、思っていたが……

「マスター、今日はショートケーキと甘いカフェオレ!それを2つね」

「速川さん、いつもここに通ってるの?」

 マスターと呼ばれた中年男性が出してくれた水を一気に飲み干して、どこから取ってきたのか漫画を読み出した。

 その様子に戸惑い聞くと、速川さんは頷きながらも目線は漫画の中だ。

 私は手持ち無沙汰に辺りを見渡す。

 まるでおばあちゃんの家みたいで、安心する。今時のカフェはどこもかしこもスタイリッシュで、整っていて、緊張してしまうから、こういう懐かしい感じの方が寛げる気がした。

 息を吸うと胸いっぱいに珈琲の薫り、お客さんの静かなお喋り、ゆったりと流れる名前の知らないジャズ。

 カウンターの、マスターのいる方へ目を向けると彼はサイフォンで珈琲を作っていて、見慣れないそれに釘付けになる。

 アルコールランプの上にお湯が入ったフラスコ、なんて科学の実験のようで面白い。そして、後からフラスコの上に、粉末になった珈琲が入ったガラス容器が乗せられた。

 アルコールランプで温められたお湯がコポコポと沸騰し始め、その蒸気圧で段々ガラス容器にまで上がっていく。

 マスターが竹べらで混ぜ、それから暫くすると、アルコールランプの火を消して再び竹べらで混ぜて冷やせば、上がっていたものがフラスコに下がっていった。