「何すんのよ!」

「私は、ずっと仲直りがしたかったの!!ごめんなさい!ほら、2回も謝ったでしょ!」

 キレながら仲直りって聞いたことないし。

 ……でも、私たちには合っているのかも。

「言っとくけど、前みたいな友達には戻れないから」

 さおりは泣きそうになって俯いた。

「これから、また、よろしく」

 手を差し出した私に、驚いて顔を上げる。そのさおりの間抜けな面と言ったら……私は制服が汚れるのも気にせず、お腹を抱えて笑い転げた。

 さおりは怒ってるのか泣いてるのか分からない表情で、無理矢理、私の手を握って「よろしく!」と怒鳴った。

 強情っ張りだけど、素直な所もある。憎みきれない性格なのだ。

 それから、二人で泥だらけになりながら小さなイヤリングを探しまわり、それを見つけたのは、空が橙色から群青色に変わりかけていた頃だった。

 私たちは、まだまだ歪な絆の友達だけど、いつかあの日、傷つけ合ったことも、こうして笑い合ったことも、同じように楽しく思出話にできるようになれたら、と私は心の中だけで思った。

「何考えてるの?」

「ん?さおりの素っぴんがいかに薄いかをよく見てたの」

「もぅー!じゃ、今度メイク教えてよね」

「はいはい、分かったから、早く璃子に返しに行くよ!」

「え、この今の顔で私だって気づいてくれる?」

 全く、可愛くないけど可愛い奴。




               ~・ fin ・~