『なんか結奈ってうちらのこと馬鹿にしてるよね』

 そう言って、クラスの皆を引き連れて、少し離れた所で私を笑った彼女が、目の前で泣き崩れていた。

 別に同情なんかしてない。

 確かに、あの時は腸が煮えくり返っていたけど、今はそんな怒りもない。

「自業自得。さおりもとっくに気づいてたでしょ?それなのに、なんで……」

「結奈には分かんないよ!好きな人も、友達も、全部持っていかれちゃう気持ちがっ」

 は?と思った。いや、口に出していたかもしれない。

 好きな人っていうのは洸だとしても、友達?誰が?

「あんた、自分がしたこと覚えてないの?」

「あれは、そんなつもりなんかなかったの!なんて言っても信じてくれないだろうけど。私は結奈ももしかしたら洸が好きなんじゃないかって、誰かに話したら、それが悪いように広がって、皆の中でそういう空気が広まってて……」

 さおりは泣きながら、何度も謝ろうとしたことや、でも結局勇気がなくて出来なかったと話した。