地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~



 ゲームセンターから出ると、もう日が暮れてしまっていた。その空を見上げていた私たちは、何も言わずに歩き出す。

 風はどことなく涼しさを帯びて、夏の終わりを告げているよう。

 とても、とても長かった夏。

 色んなことが、一気に起こって、こんな夏は初めてだった。

 今だけの時間が、過去の時間になっていく。それは寂しい気もする。それ以上に思うのは、それだけ今が大事になっているということが嬉しい。

 片手にぬいぐるみを、片手は大好きな彼に。

 両手いっぱいの幸せ。他の人からすると大袈裟だと思われるのかな?私はこんなにも大きな幸せを感じたことがなかったから、手放してしまいたくなくて、繋いだ手をぎゅっと握り締めていた。

「リッキー」

 住宅街の中は街より静かで、声がよく響く。

「なに?」

 だから、秘密事を話すみたいに声を潜める。

「俺からの提案。暗いから、帰った方が良いんだけど、もう少し一緒に居たいな、ていう提案」

「……うん、賛成」

 くすくす笑う私たちと同じように、風がひっそりと吹いた。