着替え終えて、全身をくまなくチェックするユイちゃんと彩音。私も鏡にうつる自分とにらめっこする。

「……うん、完璧」

 ユイちゃんがぽつりと呟く。

「絶対いける。これは確実に、どんな男だって黙っていないわよ」

 彩音が誇らしげに頷く。

 そんな二人の様子に少しほっとした。鏡の中の自分はまるで別人で、似合ってるのか否か、不安になっていた。

 だけど、ほっとする時間も惜しいと、早々に洸君の所へと急かされる。

「やばい、間に合わない!文化祭の部門別の表彰が終わったら、次は生徒会の企画の順番だから始まってるかも」

「急げーっ!!」

 高すぎないヒールのおかげで走りやすくて良かった。二人の後を追いかけるように走る。すると、ユイちゃんが何かを思い出したように立ち止まって振り返った。

「えっ、ユイ?どしたの?」

「忘れてた、璃子に渡したい物があったの」

「え?私に……?」