私は元々お洒落をするのが大好きで、母親に可愛い服を買ってもらっては学校に着て行って、友達に褒められていた。

 だけど、小学校4年生の時あたりから眼鏡をかけるようになって、それでも変わらず可愛い服を着ていた。すると、クラスの男の子に……

『似合わねーよ、眼鏡ブス』

 本当にショックで、何も言い返せなかった。ただ泣くことしか出来ないで、逃げて帰った。

 それからは出来る限り目立たない、眼鏡ブスの私に見合う服装を心がけていた。

 そのせいか、それまで仲の良かった子達と距離が離れていたが、私は構わなかった。

 もうこれ以上傷つかないために。

 もう誰からも嘲笑われないために。


 そんな今の私の楽しみと言えば……

「リッキー君!おいでー!!」

 愛犬を着飾る事だ。

 今日は青色のバンダナを首に巻いてあげる。手作りで、名前の刺繍を入れてある。

 他にもスヌードや、雨の日のためのレインコート、冬にはあったか素材のジャケットなど、バリエーションは様々だ。

 リッキー君専用のクローゼットまであり、私が持っている服以上にあるのかもしれない。

 私は何をしても似合わないけれど、リッキー君は何でも似合う。私の携帯のデータは言わずもがな彼の写真だらけだ。