地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~

 その衝撃に我に返り、数秒遅れて感じる指先の痛み。

 滲み出る血。

 黒い画用紙にぽたぽたと落ちたのが何なのかを理解したのが先か、ぶつかった男子が謝ったのが先か、私は立ち上がって教室を飛び出していた。

 痛い、痛いよ。

 そう、切れた指が。

 ううん、ほんとは切なく締め付ける胸が痛い。

 我慢しきれなくなった涙が、嫌でも私に知らせる。

 溢れる気持ちが胸の中でいっぱいになって、塞き止めていたそれが、今頃、外に出てきてしまった。

 教室から離れ、走っていた足を緩める。

 拭っても拭っても頬が濡れる。

 大きく膨れ上がるこの気持ち。以前までは知らなかった感情を知って、その重さに自分でもどうすればいいのか分からない。

 放課後とは言え、私のクラスと同じように残っている人は多い。人目につかないようトイレで、切った指を洗う。鏡にうつる酷い顔。万里子さんの言っていた通り、目を擦ったら駄目だな。

 冷たい水で顔を洗うと少しだけ気分がスッキリして、ハンドタオルで拭き、持ち歩いていた絆創膏を指に貼った。