*
2学期が始まってから皆、文化祭のことで頭がいっぱいだ。斯く言う私も同じだけれど。
着々と進む準備、たまに揉めながらも男子女子、グループ関係なくまとまっていくクラス、そして、何よりも……
「ねぇ、誰にした?」
「えーまだ決めてない」
「いや、うちらの学校の王子なんて実質一人じゃん」
今年の生徒会が企画した、ふざけているのかそうでないのか分からないような公開告白が生徒を浮わつかせていた。
あの子たちも彼に投票するのだろうか。でも、男子なんて他にもいるんだし、学年に一人しか選ばれないのなら……
「やっぱ“洸君”でしょ!」
生徒会が設けた投票箱に投票用紙を入れた女の子たちが、きゃっきゃっとはしゃいで私のいる方向に向かって来る。私はなるべく俯いて気配を消すようにじっと動かないで、壁になったつもりで通りすぎるのを待った。
やっぱり、やっぱりなのね。
夏休みの時に隣を並んでいたのが遥か昔のようだ。だって、洸君はやっぱり学校の王子様で、私は空気のように存在感がない地味な女。
私は手の中にある投票用紙を見下ろして、スカートのポケットに押し込んだ。
「柊さんも投票なんかするんだ?」
2学期が始まってから皆、文化祭のことで頭がいっぱいだ。斯く言う私も同じだけれど。
着々と進む準備、たまに揉めながらも男子女子、グループ関係なくまとまっていくクラス、そして、何よりも……
「ねぇ、誰にした?」
「えーまだ決めてない」
「いや、うちらの学校の王子なんて実質一人じゃん」
今年の生徒会が企画した、ふざけているのかそうでないのか分からないような公開告白が生徒を浮わつかせていた。
あの子たちも彼に投票するのだろうか。でも、男子なんて他にもいるんだし、学年に一人しか選ばれないのなら……
「やっぱ“洸君”でしょ!」
生徒会が設けた投票箱に投票用紙を入れた女の子たちが、きゃっきゃっとはしゃいで私のいる方向に向かって来る。私はなるべく俯いて気配を消すようにじっと動かないで、壁になったつもりで通りすぎるのを待った。
やっぱり、やっぱりなのね。
夏休みの時に隣を並んでいたのが遥か昔のようだ。だって、洸君はやっぱり学校の王子様で、私は空気のように存在感がない地味な女。
私は手の中にある投票用紙を見下ろして、スカートのポケットに押し込んだ。
「柊さんも投票なんかするんだ?」



