はい、顔が茹で上がりました。

 洸君って、どうしてそう女子が喜ぶポイントを掴んでしまうんだろう。些細な変化も気づいてくれる。男の子ってそういうの苦手なんじゃないんだっけ?

「変、かな?」

「ううん、可愛い!」

 はい、悩殺されました。

 もう絶対面白がってるんだ、私の反応を。洸君は必死に冷静さを保とうとして冷静じゃない私に「照れてるのも可愛い」とさらっと爆弾を投下するんだもの。私は心の中で早くも白旗を上げていた。

「あ、そうだ、俺璃子ちゃんに聞きたいことがあってさ」

「ん?何?」

 予鈴ギリギリで忙しない昇降口。立ち止まる二人を避けて過ぎ去る子達の風。ああ、時間が止まってしまって。まだ洸君と一緒にいたいよ。

「あの日、璃子ちゃんは何を……」

 不意に真剣な表情をする洸君に、あの日の、あの夜の彼を思い出して、聞きたいことが何なのかが分かった。私の思考回路はとうに役立たずになっていて、誤魔化すことは出来ない。かと言って、こんな慌ただしい所で告白なんて……と考えていると、

「洸っ!」