「こんばんは、俺……じゃなくて僕、璃子ちゃんの同級生の立花洸です。夜道は危ないんで送らせてもらいました」

 洸君も最初は戸惑いながら、きちんと挨拶をしてお辞儀をする。お父さんも、未だ混乱しているようだけれど「ああ、それはどうも、ご苦労様です」と会釈していた。

 そんな、すごく気まずい空気に堪えられず……

「あ、洸君、送ってくれてありがとう!じゃ、じゃあ、またね」

 半ば放心しているお父さんの腕を引っ張って、彼を振り返らないで家の中へと入った。どんな顔をしているか見る勇気はなかったのだ。

 それにしても、一世一代の告白に、まさか父親が乱入するなんて、そんなのあり得ないよ……!

 玄関の壁に寄りかかって脱力する私に、お父さんはやけに厳しい顔を向ける。思わず身構えると、

「彼とは……その、お付き合い、してるのか?」

 その言葉にため息が出た。そうなりたくて告白したかったけど失敗しちゃったの、と言うのを堪える。

「言ってたでしょ?同級生で、今日はユイちゃんとも一緒に遊んでて洸君が送ってくれただけ。友達だよ」