洸君はきっと“友達として”私に嫌われたくないんだ。そこを勘違いしたら駄目なんだ。それこそ、ユイちゃんを利用しようとした子と同じになってしまう。

 だったら、やっぱり友達のままでは居られない。

 無理に気持ちを抑えれば、私が彼を傷つけてしまうかもしれない。洸君に好きな人が出来て、その人と付き合ったら、今の私のままで接することなんて到底出来そうにないから。

「あのね、洸君」

「ん?」

 緊張で震える手を握りしめる。夜の静けさに鳴く虫の声も聞こえなくなる。躊躇う私を待ってくれる洸君に目を向けて、息を吸って……

「私、ずっと、洸君が」

 手にいっそう力を込める。ちゃんと言おう、洸君が好きだって。そう決意して、言葉にしようとした時だ。

「璃子……?家の前で何を……」

 突然、声をかけられて振り向けば……

「お、お父さんっ!?」

 会社帰りのお父さんが私に向かって話しつつ、側にいる洸君に気づくと目を見開いて固まってしまった。