「あ!ごめんなさいっ!え、えーと…私は演技のことはさっぱり分からないので…。」
春は慌てふためいている香子を見て不思議そうにしながら「あ、そ。」とだけ言葉を返した。
撮影はその日も滞りなく終わった。
さて、帰ろう!とすると。
「あれ、紫苑さん?なにしてんだろ。」
スタジオの出口に咲が一人で立っている。
「紫苑さん、どうしたんですか?」
香子の声に顔をぱっとあげて視線を春に向ける。
「おっ、お疲れさまです!」
その言葉からはいつものハートマジック女の余裕は見られず、肩に力が入っていた。
「あの、は、春さんに用があって…。」
「なに??今から有科さんと帰るから手短にお願いね。」
香子はすぐに気付いた。
これは、告白をする気だな。と。

