裏と表の私と彼



「…しょうがないですね。」
香子も疲れていた上に春のわがままだ。
認めざるを得なかった。


「ご注文は?」

「私、アイスコーヒーで。」
「おれも。」

暖かい日差しが入る大きな窓が印象的なカフェは人は少なく、落ち着ける場所だった。

「…もう居なくならないでください。」
香子はコーヒーを一口飲んで言った。
「事務所や私だけでなくほかの役者さんにも迷惑がかかるので。」

「なにそんな言い訳してー。ほんとは寂しかったんでしょー?」
からかうような口調の春を見つめ、香子はさらに付け加えた。