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「それで、肝試しって?」


販売のパンを買って中庭に。

最初はいつものように
くだらない話をしていたのだが、
裕太の一言でさっきの話題に戻った。

弁当を食べる夏希は、
相変わらずの笑顔で口を開いた。


「幽霊っていると思う?」

「いや、俺はいないと思うよ。」

「翔は?」

「いるんじゃねーの?」

「意見が別れたな。それは何故かわかるか?」

「なっちゃんが言いたいことわかった。
要するに、俺たちが霊体験をしていないから
事実がわからないんだよね?」

「その通りでございまーす!」


だから探しにいく、と?
裕太は納得したようにうなずく。

好奇心の塊が二人もいると大変だ。

仮に見つけちまったらどうする気だよ。
お祓い騒ぎになるとか絶対に嫌だぞ。


「青春の一ページということで!」

「良い思い出になるかもね。」

「裕太までノリノリとか…。」

「翔ちゃんっていつもこうだけど
実際、現場に行くと誰よりも楽しむよね。」


確かに、と夏希に笑われる。

そりゃ、某遊園地に行ったときは
一番テンション高かったかもしれないが。


「幽霊と絶叫マシンは全くの別物だろ!」

「はいはい。怖いんでちゅねー。」

「なつ!お前が廃墟で腰抜かしても
放って帰るから覚悟しとけよ!」

「望むところよ!」


夏希だって充分怖がりだからな。
腰抜かして大泣きするのを期待しよう。

悪戯な笑みで宣戦布告。
どっちが先に逃げ出すか!

こんな幼稚な俺たちの遊びにも、
裕太も乗り気でいてくれるのだった。



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