全てを包んで

パソコンを見つめたまま固まっている美咲ちゃん。

もう一度声をかけてみた。

「えっと、…美咲ちゃん?」

「データが…。」

「?」

訳がわからず、美咲ちゃんのパソコンを覗き込む。

画面は表計算ソフトを立ち上げただけの真っ新な状態だ。

美咲ちゃんはようやく此方を振り向いて、

「入力したデータ、保存する前に誤って全消去しちゃいました…。」

そう呟く美咲ちゃんの目は、どこか遠くを見ているようだった。

「えぇ〜〜っ⁈」

美咲ちゃんが入力していたデータは、確か週明けの会議で使う予定になっていたはずだ。

「買い出しのお手伝いどころか、花見が終わるまでに行けるかわかりません…。」

美咲ちゃんはそう言うと、電池が切れてしまったように下を向いた。

後ろからチーンって効果音が聞こえてきそうなほどだ。

落ち込み方が半端じゃない。

…これは何と声をかければ良いだろうか。