全てを包んで

「そんな事があったんですか。」

とりあえずツッコミは入れない方向にした。

「絶対にボーズは嫌だ。」

そう話す片瀬さんはやはり真剣な顔のままだ。

やっぱり突っ込んだ方が…。

そんな事を考えていたら定時の時間になってしまった。

その瞬間、それはそれは素早い動きでタイムカードを切り、用意してあったブルーシートを手に片瀬さんは走り去っていった。

人ってあんなに早く動けるんだなぁ。

そう思いながら片瀬さんの後ろ姿を見送った。

とりあえず、私も片付けをして買い出しに向かおう。

気持ちを切り替え、パソコンの電源を落とし、デスクの上も片付ける。

会社を出る準備が出来たので、後ろの席の美咲ちゃんに声をかける。

「美咲ちゃん、そろそろ買い出しに行こうと思うんだけど…。」

そう言って美咲ちゃんを振り返ると、

「……。」

ん?

美咲ちゃんは無言だ。

「美咲ちゃん?」