【リュウヘイ】
シリウス、か。
それはまた今日も、新たな夜を連れてくる。
視界から離しても、脳裏にこびりついた青い光が消えてくれることはない。
数年前は、何度も何度も、毎日毎日飽きることなく空を見上げて、届かない腕を伸ばして、痛いくらいに手を広げた。
…今夜も月が出てるよ。
闇夜へと誘う白い月が、心のずっと奥にある気持ちを簡単に引きずり出す。
声にならない、言葉にできない想いを、もうずっと飲み込んできた。
慣れてるようで、内側では何も成長してない自分の弱さに腹が立つ。
お前みたいに強くなれないよ、俺。
ああ、こんなことを星に想ったって、目の前のことが変わることはないんだな。
勿論俺自身も何も変わんねえし。
こうすることで自分の感情に整理をつけてる自分がダサすぎて。
キラキラしてるあの星に、幾度となくお前を重ね合わせてきたけど、実際そうすることで何かを保ってきたのは俺自身だったんだ。
寂しくて、泣きたくて、でも涙なんか出ねえし。
何が寂しい理由なのか、どうして泣きたいのか、その根源を具現化できるものは何もない。
この手から滑り落ちていってしまったから。
後悔なんてしてない。
…これはただの執着だ。
なんの成長も果たしてない子どもの戯言。
例え、僅かな間でも、あの星がこの手に戻ってくるなら。俺、どうしたかな。
それならもう何もいらないって、言えんのかな。
その瞬間が終わっても、その手を離せないよ、きっと。
夜の空気が切なさを含んで背中を通り抜ける。
無数の光を掴みたくて、掴めなくて、その手は宙を舞うよう。
何も言わずに抱き締めてくれるだけで、込み上がるような温かさを、きっと俺は持ってねえから。
上手く言えないけど。
でも、お前みたく、格好良く生きれない。


