アキラと名乗るその女は、とにかくバカみたいに強くて、バカみたいに格好良かった。
20人くらいいた男たちを次々蹴散らして。
僕にもこんな力があったら、お母さんを助けることができたのかな…。
男たちが去った後、アキラは、何も答えない僕に必要最低限のことだけ聞くと、『キミとここにいるよ』と僕の隣に座った。
名前も知らない僕の隣にずっといてくれた。
本当は………、名前を聞かれたとき、真っ先にお母さんの顔が浮かんだんだ。
もし今ここで、僕が名前をバラしたら。
もしアキラが悪い人で、家に来てしまったら。
そう考えると怖くて、僕は答えられなかった。
この人、こんなに強いなら、僕を殺せるんじゃないかな。
そんなことを思いながら、アキラの質問に首を振っていたら。
思わぬアキラの言葉に、僕は…。
『お家には?帰らないの?』
帰りたくないよ………。
『ママとかパパは?帰らないと心配するよ。』
お父さんは、こんな顔、一生してくれないだろうな……。
どうして、僕のお父さんはあんな人なんだろう。
どうして、僕の帰りを待つ人はいないの?
誰も心配なんてしてくれないのに。
どうしてアキラは、初めて会った僕にそんな心配そうな顔をするの?
どうしてよ…………。


