さっきの涙を思い出す。
あれは、この傷と何か関係があるの?
聞きたいけど、そんなことはやっぱりまだ聞けなかった。
隣の小さな背中に問いかける。
「あのさ…、これはわたしの独り言だから気にしなくていいんだけど。
泣きたかったら泣いていいんだよ?我慢しないでいいんだよ。
もう、頑張らなくていいんだよ…。」
こんなことしか言えない自分の無力さを痛感した。
広がる景色は、いつもと同じとても綺麗なものなはずなのに。
なんだろう、わたしにはあの紅く燃える太陽が、彼の傷を彷彿とさせるよ。
***
帰り道。
家の前まで送ると不信感をまた抱かれそうだから、近くまで送ることにした。
最初は全く喋らなかったけど、ポツリポツリと喋ってくれるようになったからそれが嬉しくて、複雑で。
ある曲がり角で止まる。
ここでいいと言う彼の言葉に、わたしは頷いた。


