家には帰りたくないわけか…。
「ずっとここに居るの?」
この質問には首を横に振る。
どこか移動するのかな。
「毎晩ここにいるの?」
…この質問はスルー。
難しいな。
でも毎晩ここにいたら、さすがにジローも気づくか。
「今日はたまたまここにいるんだね。まだ帰らない?」
地面を見つめながら、首を縦に振った。
こんな真夜中に帰らないなんて。
「そっか…。じゃあ、わたしもキミとここにいるよ。」
って言ったら顔をバッと上げてこっちを見た。初めて目が合った。
この子をこんなところに残していけない。
「ココってさ、さっきみたいなお兄さんとかいっぱいいて結構危ないんだよ。だから、キミがいるって言うまで一緒にいる。で、帰るときにわたしも一緒に帰るよ。」
縮こまって何も言わないけど、嫌がらないみたいだから大丈夫かな?
前から隣に移動して、わたしも彼と同じように体育座りをした。
この子、すっごく警戒心が強い気がする。
うーん、どうしよう。
自己紹介でもしようかな?
「えっと…、わたしの名前はアキラ。男みたいな名前でしょ?女なのに。
年はね、20歳で、好きな食べ物は〜、肉と刺身かな。」
そんな他愛もない話を一方的にして、時間をやり過ごす。
何も話そうとしない。
ずっと口を結んだまま。
この子の名前も何もわからない…。


