「てめぇ………。」
ギラッとわたしを睨む犬男。
凄みが増した気がした。
さっき散々ボコボコにしたからもうフラフラだけど、それでも立ってわたしに向かってくる。
「何よ。」
「ぶっ殺す…。」
彼のそんな一言に、思わず笑った。
アンタじゃ無理よ。
「何がおかしいんだよ!」
顔が赤くなって、怒ってるのが分かる。
けど、わたしはわたしの職務を全うするだけだから。
時計を見て時間を確認する。
お腹も空いた。
何より眠くてあくびが出る。固まった体を伸ばすためにも蹴伸びをした。
そんなわたしの行動にさらに怒り狂う犬男。
「オメェ…。許さねえ………!!」
ちっ。いよいよ面倒くせぇな。
犬男がまだ向かってくるから、左手で顔を掴んで空いてる右拳を胸に一発入れた。
「ガハッ……!!!」
その場に膝を折ってしゃがみ込む。
「もう行っていいよ。」
そんな彼を冷めた目で見つめた。
どこからか冷たい風が吹いて、髪を揺らす。
…残念ね、どっちにしろ結果は同じことだけど。
奴は、わたしを下から睨みつけると、苦しそうに仲間とともにどこかへ立ち去った。


