明は黙って、ずっと話を聞いてる。
最近仕事も忙しそうだし…、寝る時間少ないのかな。目の下にクマが見える。
レモンティーを飲みながら、リュウが話を繋ぐ。
「さっきさ、俺、那月の頭撫でたんだ。ソウタとかスミレと同じ感じ。無意識に手が出てて。」
リュウは確かに、よく頭を撫でる。そういうところが、更にお兄ちゃん気質を際立ててる。
「そん時の那月の顔、赤くて照れてんの。ハルとかソウタと同じように、那月も可愛く思えてさ。」
「うん。」
「それと同時に、那月はこんなことされたことあったのかなって思った。」
下を見つめるリュウの表情は、哀しさを帯びてるように見える。
「俺もこの家に来るまでは、確かに何も知らなかったけど。だからこそっつーか、那月にも分かってほしい。那月の知らない楽しいこと、たくさんあるから。」
さっき会ったとき、那月くんは生に対して何も感じてない目だった。
虚ろっていうか、ボーッとしてるっていうか。
ただ生きてしまっているから、生きてる。そんな感じ。
過去のトラウマで内側に引きこもっているなら、それを受け入れた上で、あたし達は外に連れ出す努力をしないといけないから。
「那月のこと、知りたいんだよ。」
多分、これが極め付けの言葉だったのかな。


