「あとの3人も紹介するね。」
里香ちゃんがそう言って残りの3人を紹介してくれた。幼いあどけない笑顔だった。
僕の目の前に、右から男の子、女の子、女の子と並んで立つ3人は、まだ随分と小さいと思う。そうして、フッと思った。
この子たちの抱える過去はなんなんだろうか。
まだ、こんなに小さいのに。
一般的に親を恋しく思う年齢じゃないのかな。
こんな小さな体にどれだけのものを背負っているんだろう、と。この時それを考えられずにいられなかった。余計なお世話だとしても。
明と晴都くんはまだ何かを言い争っている。それが幸いして、僕の思考をかき消した。
何をそんなに言い合っているのかと思えば、概ねの所、今日遅く帰ってきた晴都くんに明が注意をし、それに付け加えて日頃のうんたらかんたらといった会話が何となく聞こえた。
「新しいお兄ちゃん?」
高い声と、がっちり何かが足にしがみつく。
声の主である女の子が目をキラキラさせてこっちを見ていた。
満面の笑みだ。
「新しいお兄ちゃんだよね!」
「う、うん…。」
勢いに圧倒されていたら、龍平くんがその子を抱き抱えて僕の目の前に立たせた。
里香ちゃんが、急に飛びついたらびっくりしちゃうでしょと注意をしている。
「いきなりごめんね。びっくりしたでしょ?」
「あ、いえ。大丈夫です。」
「じゃあ明の代わりに、あたしが紹介するね。」
里香ちゃんは1番右にいた男の子の横に背丈を合わせて膝立ちをした。
「まず、この子が赤松颯太(あかまつ そうた)。はい、那月お兄ちゃんに挨拶してね。」
一歩踏み出した男の子が僕を見上げたので、慌ててしゃがみ込んだ。
「あかまつそうた!」
おお…。
「川畑那月です。」
「俺もう、なつきの名前覚えた!」
「ありがとう。よろしくね。」
「うん!」
可愛い。
へへ、と笑ってそそくさと後ろに下がった。
次はアタシ〜!とさっき僕にしがみついてきた女の子が一歩前に出る。
「えっとね、」
「すみれ!ひがすみれ!」
「比嘉菫(ひが すみれ)。颯太と同い年で、5歳で保育園の年長さん。よろしくねって言ってるよ。」
苦笑気味に仲良くしてやってねと、里香ちゃんは僕に言った。
「よろしくね、那月です。」
「なっちゃん?」
「え?あ、うん。」
「なっちゃあああああん!!!」
わあああ!とその場で足踏み、いや、腿上げレベルに足をバタバタさせてから、くるっと1回回りながら後ろへと戻る。
元気な子だなあ。


