11時...24分......まだ授業中か


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教室に着くと、私は後ろの扉をゆっくりとスライドさせて四つん這いで自分の席に向かう。


──席は窓際の一番後ろだから...大丈夫


見ると後部席に座っている数人が私を見て笑っている

昴くんや将吾くん、なんと祐奈ちゃんも


そして授業は保健らしく、担当の深澤先生は私に背を向け、黒板になにかを書いている



  チャンス......今なら気づかれず... 



と思った瞬間、目の前をゴキブリがサッと通り過ぎた

途端に噴き出す汗



──なんでよりにもよってコイツなん──



カサカサッ、


不快感を煽る触角を靡かせて私の手の甲を駆け回るゴキブリ


全身に、体毛を逆撫でされるほど気味の悪い悪寒が走った
そして次の瞬間、私は声にならない叫声を上げていた。




憂架「ひぃいやあぁぁあ"あ"あッ!!!!!!
   祐奈ちゃん助け─」




だが言葉が言い終わらないうちに私の首根は何者かによって自由を失っていた。

おそるおそる後ろを振り向くと...




憂架「あっ...先生......
   これには奈落より深い理由が─」


悠希「難波江...とりあえず後でゆっくり訊かせてもらうわ」


祐奈「...あっ、はははははッ!!!ww
   憂架ってば...ほんと最高...!」


昴「憂架アホやなぁ〜
  深澤に見つかったら放課後居残り決定やんww」




彼はいつの間に私の背後に回っていたのだろう

この人のこの気味悪い笑顔は絶対なにかを企んでいる時の顔だから──




放課後、自由が失くなるのは確実だ




悠希「あ、昴。お前も残れよ」


昴「...えぇ!?」




......昴くんと。