全て解き終えると、マオは舐めるように彼女の身体を眺めた
纏うものが無くなった憂架の左胸上部には
見る者全てを魅了するハートの痣が黒く輝いていた
憂架にとってはコンプレックスだったが、優はいつも決まって
「その痣も含めて憂架ちゃんなんだから、俺はいいと思うよ」と彼女の頭を撫でていた
それでも憂架は笑って誤魔化しながらサラシを巻いていた
マオ「いいもの見せてもらったから、お返しあげる」
「...別に要りませんけど......」頬の痛みを堪えてそういった
マオ「まあまあ」
マオは事も無げに憂架の手を引くと、ある部屋へと連れていった
──────────
──────
マオ「今日からここが、憂架ちゃんの部屋ね」
そう言って連れられた部屋の扉には錠が幾重にも設置されており、
室内はといえば窓や家具、電気のない実に殺風景なものだった
憂架は言葉を詰まらせた
──この人は何を言ってるの?部屋って?
私には帰る場所があるというのに...。
憂架がマオの手を離し、家から出ようとすると、
マオは彼女の髪を掴んで異様な雰囲気の漂う部屋にぶち込んだ
そしてチェーンやら暗証番号を入力する錠やらで鍵をかけた
「嫌あっ!出してえっ!マオ先輩っ!」
マオ「出さないよ(ハァト)とりあえず今日はそこにいてもらうね」
「嫌っ、嫌だぁっ!お願いします!マオ先輩っ、出してよぉっ!」
マオ「じゃあね、憂架。また明日来るよ」
憂架は呼吸が止まりそうになった
マオは憂架が大の暗闇嫌いということを知っていたのだ
先程の軽率な行為を悔やみ、憂架は涙を流すしかなかった
──────────
──────
優「...もう帰ってよ、警察呼ばれたくないでしょ?」
優が肩で息をしながら単刀直入に伝えると
昴は殴られた頬をさすりながらゆっくりと頷いた
昴「ポリ公に捕まったら憂架と会われへんからな......ゲホッ...」
優「もう憂架ちゃんには会わせない
悪いけどクラス替えも、君とは離してもらう」
昴「......」
昴は一瞬、子供の泣き顔のような表情をすると、またいつもの表情に戻り、踵を返して部屋を出ていった
優は昴に殴られたことなど忘れて、机の上に置きっぱなしだった携帯端末を手に取った
そして床にへたり込む
電話帳から彼女の名を探し出し、“通話”をタップした
コール音が響き渡り、優は知らず知らずのうちに憂架を呼んでいた
優「...憂架、ちゃん......」
なかなか出ない
おかしいな、充電もしたし、パーカーのポケットっつう...一番わかりやすい場所に入れておいたのに......
優は首を傾げた
と同時に、なにか良からぬ事態に直面したんじゃないかという考えが頭を過ぎった
優はすぐさま立ち上がり、一目散に家を駆け出していた
