(ヴェインはいつまた現れるとも知れない。
対抗するためにも、武器が欲しいわ。できれば槍が。
そして一刻も早くディセルのもとに戻るのよ。
このままじゃディセルも危ないもの)

しかし監視の騎士の数が半端ではない。こっそり飾り槍を失敬することもできなそうだ。

空中庭園で樹にもたれてうつむき真剣に考え事をしていたセレイアは、すぐそばまで人のやってきた気配に、視線をあげた。

「セレイア」

目の前にいたのは、きっちりと銀の鎧を着こんだセレスだった。

この男、容姿は本当に見栄えがすると思う。(こんな状況でなければ、きっと性格もよいのだろうが)

「やっぱりここにいたか。
どうしても君に逢いたくて、訓練の合間を見て来てしまった」

「………」

やっぱりここに、なんて言われているということは、もう来ない方がいいかも知れないとセレイアは思う。