謁見後、セレイアはぼんやりと訓練棟での騎士団の訓練を見学していた。

慣れ親しんだ武術の空気に惹かれたのだと思う。

本当なら今すぐにでもパレス内にある図書館に行くべきなのだろうが、謁見を終え、それほどの気力は残っていなかったのだ。

それに、残念ながらこれから試練を受けるために滞在せねばならぬ身なので、まだ図書館に行く機会はたくさんあるだろうと思った。

セレイアたちラピストリ候補の娘たちは、ある程度の行動の自由が許されている。しかし、監視付きだ。今も、五人もの騎士たちがセレイアの見張りについている。他の娘たちにも、そうらしい。それだけ人員を割けるほど、ラピストリ候補とはこの国にとって重要な存在のようだ。

訓練場の中心にはセレスシャルがいた。

教官としては鬼のように厳しいとのうわさのとおり、びしばしと騎士たちを教育している様子がうかがえる。

帰りたいのに帰れない…そんな気持ちを抱えている今は、無性にその訓練にセレイアも加わりたかった。槍を振り回して一汗かきたかった。

セレスに頼んでみようか…と思っていると、ちょうど訓練が休憩時間に入ったようだった。

タオルで汗を拭きながら、セレイアに気づいた彼がこちらへとやってくる。