「俺、もう一度街を捜してくる!」

そう言って部屋から飛び出そうとするディセルを、サラマスは呼びとめた。

「おい、スノーティアス、お前少しは休めって。昨夜だって一睡もせずに一晩中お嬢ちゃんを捜していたんだろう? 俺がかわりに捜してくるから」

「…でもっ!!」

ディセルの目の下にはくまがあり、顔色は紙のように白い。

―セレイアが行方不明。

その事実が、それだけディセルにはこたえているということなのだろう。

ディセルはベッドにどさりと座り込むと、片手で顔を覆った。

「こんなことなら…一人で夜に散歩なんて、させるんじゃなかった…」

息も絶え絶えにそうつぶやくディセルに、サラマスは苦笑する。

神であるディセルが、そんなふうに取り乱すほど、あの人間の少女を好いているのだということが、意外であり、眩しいような気がしたのだ。

「もし、セレイアに何かあったら、俺は、俺は……っ!」

「―まあ悪い方にばかり考えるなよ。そのうちひょっこり帰ってくるかも知れないじゃないか。俺が聞き込みもしてくるから、少し眠れ。いいな? お前まで倒れたら、どうするんだ」

「………」

ディセルは不服そうに黙り込む。