翌朝、侍女の言葉通り、セレイアは朝食が終わって早々に騎士たちに部屋から連れだされた。

“皆様”とやらに会えるのだろう。そこでまた新たな情報を得られるはずだ。

セレイアは昨夜案の定あまり眠れなかったが、それでも頭はだいぶすっきりしていた。

今できることを、やろう。

そうすれば、必ず道は開ける。

一晩で、そういう前向きな気持ちになることができた。

昨夜失敬したナイフは懐に忍ばせてある。

隙を見て逃げ出せないか周囲を探りながら、セレイアは五人の騎士たちに囲まれて長い廊下を歩いた。

大きな窓から、昼の光がさんさんと降り注ぎ、銀色に輝く廊下を照らし出す。

サティエイトの建物は本当に美しい…とそれを楽しむ余裕も、少しだが生まれてきた。

多分、この一日で接した誰もが礼儀正しく、危害を加えられることもひどい言葉をかけられることもなかったからだろう。

もちろん、人さらいの目的がわかっていない以上、安心するのはまだ早い。

「…こちらです」

騎士の一人の声で、目的地に着いたらしいことがわかった。