夜道には、同じように散歩を楽しむ一人歩きの人々が思い思いに過ごしていた。

平和な国。

この空気感は、同じく平和を愛する故郷のトリステアを思い出す。

そんなことを考えながらぶらぶら歩くと、すぐに目的地の花畑にたどり着いた。

一面に咲いているのは黄色い花だった。

月明かりを受けて、黄金色に輝いている。

ざっと風が吹くと、花々は一斉に揺れて輝き、見事なまでの美しさだった。

「本当にきれい…」

感嘆し、セレイアが誘われるように花畑に足を踏み入れると、不意にばさりと羽音がし、頭上で影が動いた。

(え?)

思わず見上げる。

すると翼をはやした大きな青い獣が、頭上を飛んでいた。

そしてセレイアから少し距離を置いたあたりの花畑に、優雅に舞い降りる。

青プミールだ。

けれどこの青プミールには、他のプミールにはない風格のようなものがあった。

かわいいというより、美しいと言いたくなるその毛並。

毛色も違う。

ただの青ではなくて、ところどころまばゆい銀色に輝いている。

青銀のプミール…。

彼はその瞳をひたとセレイアに向け、静かにその場に佇んでいた。

野生のプミールだろうか。

セレイアは興奮した。

もとからプミール好きなうえ、こんなにきれいなプミールに出会ったのは、初めてだったから。