最終試練が終わるまでの間滞在していたトリステアの要人たちが、帰国する日を迎えた。

改めて、大巫女ハルキュオネと、セレイアは向き合う。

「大巫女様、………」

しかし言葉が続かない。

育ての親とも呼ぶべき彼女を前に、何を言えばいいのだろう。

ありがとう? ごめんなさい?

セレイアが逡巡していると、ハルキュオネの方が口を開いた。

「あなたはどこにいても、トリステアの姫巫女です。それを忘れることのなきように。
姫巫女としての務め、しっかり果たしなさい」

「…はい!」

何を言うべきか、やっとわかった。

セレイアは精一杯の微笑みを浮かべると、言った。

「行ってきます!」

すると、大巫女は満足そうにうなずいてくれた。

そばに立っていたフリムヴェーラとも、別れの時だ。

「いつだってセレイア様を応援していますわ。
いつかうちの娘に会ってやってくださいね」

「ええ! もちろんよ!」

セレイアとフリムヴェーラは固く抱擁を交わした。